大豊町『にしどい』リクエストされた映画を観ます。

地域に住んでいる人が、映画を観に来ていただける場所です。

11月27日(土)『記憶にございません!(2019)』を観ました。

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●観た感想など
三谷幸喜作品では『ラヂオの時間』が好きです。今作ははじめから終わりまで面白かったし、特に終わり方がよかったです。
あと小池栄子さんが素晴らしかったです。私は『接吻(2008)』を観て好きになりました。ちゃんとそこに居る感じがして凄いと思いました。
こういう作品で「また記憶が戻って、元どうりになってしまいました」という終わり方は、誰もが想像するとは思うのですが、そう思われるのをふまえて、別の方向にもってくところがよかったのでした。
薄っぺらい政治批判作品にならずに、人間の持っている可能性をあきらめてないような、元気が出てくる作品だったのでした。

11月20日(土)『大菩薩峠(1957)【片岡千恵蔵主演】』を観ました。

中里介山不滅の名作を柴英三郎と「母と子の窓」の猪俣勝人が脚色し、「暴れん坊街道」の内田吐夢が監督した。
撮影は「雨の花笠」の三木滋人。主な出演者は「地獄岬の復讐」の片岡千恵蔵、「ゆうれい船 (前篇)」「ゆうれい船 (後篇)」の中村錦之助、「股旅男八景 殿さま鴉」の長谷川裕見子、「鞍馬天狗 御用盗異聞」の月形龍之介
https://eiga.com/movie/37649/ より )

●観た感想など
大菩薩峠』は4回ほど作られているが、今作は内田吐夢監督で片岡千恵蔵主演の作品である。
もう片岡千恵蔵の存在感が異様である。魂が濁っている感じの異様さなのである。3部作なので全部観たら、この後作られた市川雷蔵主演のものも観てみたい。

町田康の『パンク侍、斬られて候』は、娘と巡礼するおじいさんをいきなり侍が切り捨てるところからはじまる(この作品では何故斬ったのかは侍から語られる)。これは今作からきていたのがわかった。こんな極悪非道なはじまりは、間違いなく脳に焼き付いてしまう。

「この侍は、なんでこんな酷いことをするのだ」という気持ちで、最初から最後まで作品に惹きつけられてしまう。話がよく出来てるし、登場人物もそれぞれ際立っていて、強力な重力のように引かれ合い、物語が展開していく。こんなのを子供に見せたら、真似をしてしまい、なったらダメな人になってしまいそうである。

観にきた人も、楽しく観れたようだし、観終わった後に話もはずんだ。「剣の腕はすごいが、その他はダメな中年おやじじゃないか」とか。

11月13日(土)『フラガール(2006年)』を観ました。

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昭和40年(1965年)、大幅な規模縮小に追い込まれ危機的状況に陥った福島県いわき市[注 1]の常磐炭鉱を舞台に、炭鉱で働く人々が職場を失う現実・苦悩に立ち向かい、町おこし事業として立ち上げた常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生から成功までを実話を元に描く。ハワイアンミュージックと本格的なフラダンスショーが描かれている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AB より)

11月6日(土)『永遠の人(1961年)』を観ました。

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アカデミー賞ノミネート。5幕構成で黙々と展開される憎き夫への究極の復讐劇!阿蘇大自然を背景に四半世紀にわたる女の憎悪の念を情熱と哀愁のフラメンコに乗せて描く“闇のクロニクル”。
https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/03430/ より )

●観た感想など
なんだか内容が暗そうなので、観るのも躊躇したし、観てからも「内容を受け付けない人がいるんじゃなかろうか」などど少し考えたりした。でも、そんな心配は全然いらなかった。


大地主の息子(仲代達也)が、好きな人が戦地から戻るのを待つ小作人の娘(高峰秀子)を手ごめにする。 それがこのお話の発端でもある。そこから無理矢理妻にされた女の復讐の人生がはじまるのであった。

一人で観た時には重く感じたのであるが、意外にもいっしょに観た女性のお客さんからは笑いがいくつかあった。

まず大地主の息子(仲代達也)には、母親とのつながりは出てこない。父親の横暴さから見ると、きっと母親は「子供を産んで、男につくすのがあたりまえ」という扱いに、潰されたか家を出ていったかではなかったかと思う。そんな父親だから、小作人の娘に無理矢理迫った息子を見ても「まったく、あんな女を力づくでものにできないでどうする」と嘲笑う。

そんな息子と無理矢理結婚させられた娘であるが、言うことを聞いて黙って耐えるようなことはしない。嫌味を言われれば、対抗して同じように憎まれ口を返すのであった。別の笑いを出そうとしていないと思うのだが、そういう真剣なやりとりが少し笑ってしまうところがあるのであった。


望んで結婚したのではない妻は、夫にも夫の父親にも毒を流し続ける。それは(無理矢理手ごめにされた時の)長男にも及ぶのであった。はっきり言って家族を壊そうとする妻なんて通常はありえないし、「そんな行いをしたら、最後はどんなになってしまうのか」という、怖いもの見たさが、この作品を見るものを惹きつけているのかもしれない。
憎まれ口ってのいうはパンチが効いているセリフで面白い。例えば病気が治った相手に普通は「具合が良くなってよかった」と言うであろう。でも憎まれ口では「まったくあのままくたばるかと思ったのに、しぶとい生命力だねえ」などと言うのである。作品としては、だんぜん憎まれ口の方が面白いし、それに対しての返しが「あんたより先にくたばってたまるかい」などとなれば、グイグイ作品に惹きつけられる。

『喜びも悲しみも幾年月』が表(おもて)面としたら、『永遠の人』は裏面のような存在なのかもしれない。
私は日本映画のなかでも5本の指に入るくらい、素晴らしく面白い作品だと思いました。

10月30日(土)『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜(2014)』を観ました。

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ウォーターボーイズ』など数々のヒット作を送り出してきた矢口史靖監督が、人気作家・三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を映画化した青春ドラマ。
あるきっかけで山奥の村で林業に従事することになった都会育ちの若者が、先輩の厳しい指導や危険と隣り合わせの過酷な林業の現場に悪戦苦闘しながら、村人たちや自然と触れ合い成長していく姿を描く。
ヒミズ』などの染谷将太をはじめ、長澤まさみ伊藤英明、ベテラン柄本明らが共演する。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/347864/story/ より )

●観た感想など
私の住んでいる所が、周りを樹に囲まれた大豊町なので、今作(三重県が舞台)と風景が同じ感じなのでした。
都会の若者が浪人したため、たいして考えずにとりあえず林業を目指す。見る側も主人公と同じ目線で、今まで知らなかった世界に入っていく。物語としては王道のつくりです。

大豊町マムシが住んでいる地ですし、身近な『林業あるある』が出てくるのはかなり楽しかったです。山の神様に感謝して樹を育てもするし、切り倒しもする。目には見えないものの存在もちゃんと描いているのが、今作の好きなところです。

「今週はどんな映画やるの?」と知りあいから電話があって、「林業が出てくる映画です」「面白い娯楽作品ですよ」とか言っても、今作の魅力があまり伝えられず、今回は観なくていいかとか思われてしまった。「林業の話なら知ってるから別に観なくていいか」なんて思わないで、一度観て欲しい作品なのでした。

10月23日(土)『新蛇姫様 お島千太郎(1965)』を観ました。

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川口松太郎の代表作を美空ひばり林与一の名コンビ、沢島忠演出で大当たりを取った名舞台の映画化。華麗にして波瀾万丈、恋と歌と踊りと剣でたっぷりと楽しめる珠玉の時代劇名篇です。
https://www.toei-video.co.jp/catalog/dutd02426/ より )

●観た感想など
美空ひばり作品を観ていくうちに、この監督作品は面白いとかがわかってきた。沢島忠監督作品は面白いのである。
お話のテンポは速い。むしろ当時は速すぎて着いていけない人も多かったのではないかと、少し心配してしまう。スターウォーズなんかは日本の時代劇を参考にしている部分もあると聞いたが、この話はそのまま舞台を宇宙にもっていったら、いい作品になるんではないかと思うほどである。

酔っ払った侍に何もしていない父親がからまれて斬られて、その仇討ちをしたために千太郎の逃亡生活がはじまる。それがなんと旅芸人の一座に入っての逃亡なのである(でも目立つであろう)。
たしかに舞台上では化粧しているし、見つからないのかもしれない。ここでの千太郎と旅芸人の美空ひばりの舞台が素晴らしい。舞台と衣装と歌と振付はよくできていて、これだけで一作見たいほどである。

だいたい観てもいないのに寅さんなら「ああ、下町の人情話の寅さんね」とかわかった感じになったりして、美空ひばり作品も「どうせ二役してチャンバラ時代劇でしょ」と観てない人がいるのかもしれない。そういう人に今作は観てもらいたい作品でした。今回見た人から拍手が起きてました。

10月16日(土)『息子(1991)』を観ました。

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監督は山田洋次椎名誠の小説『倉庫作業員』を原作として山田と朝間義隆が脚本を担当。
岩手県の山奥で暮らす父親と、都会でフリーターを続ける息子との葛藤と心の変化を描いた社会派ドラマ。
第15回日本アカデミー賞や第65回キネマ旬報ベスト・テンなど、数多くの映画賞を受賞した。

●観た感想など
いい映画の基準ていうのは、人それぞれあるとは思うが「またあの人たちに会いたくなる」ってのがたまにあって、そういう作品は私にとってはいい映画である。

今作は好きな演者さんばかりで、それぞれがハマり役という感じで、観てて心地よい。
三國連太郎の岩手のお父さんと少し頼りない末息子の永瀬正敏。そして和久井映見さん。この三人の姿はずっと見ていたいくらい好きである。そして物語りの脇を固めるのは、味のある面々である。
田中邦衛の鉄工所配達のおっちゃん。鉄工所のいかりや長介レオナルド熊は特に好きである。

作品に障がい者が出てくる作品ってのも数々あります。描き方に好き嫌いが出るとは思いますが、私は今作の描き方はまったく障がい者との関わりのない人が見ても、楽しめるし少し見方が変わるような作品ではないかと思います。