大豊町『にしどい』リクエストされた映画を観ます。

地域に住んでいる人が、映画を観に来ていただける場所です。

11月6日(土)『永遠の人(1961年)』を観ました。

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アカデミー賞ノミネート。5幕構成で黙々と展開される憎き夫への究極の復讐劇!阿蘇大自然を背景に四半世紀にわたる女の憎悪の念を情熱と哀愁のフラメンコに乗せて描く“闇のクロニクル”。
https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/03430/ より )

●観た感想など
なんだか内容が暗そうなので、観るのも躊躇したし、観てからも「内容を受け付けない人がいるんじゃなかろうか」などど少し考えたりした。でも、そんな心配は全然いらなかった。


大地主の息子(仲代達也)が、好きな人が戦地から戻るのを待つ小作人の娘(高峰秀子)を手ごめにする。 それがこのお話の発端でもある。そこから無理矢理妻にされた女の復讐の人生がはじまるのであった。

一人で観た時には重く感じたのであるが、意外にもいっしょに観た女性のお客さんからは笑いがいくつかあった。

まず大地主の息子(仲代達也)には、母親とのつながりは出てこない。父親の横暴さから見ると、きっと母親は「子供を産んで、男につくすのがあたりまえ」という扱いに、潰されたか家を出ていったかではなかったかと思う。そんな父親だから、小作人の娘に無理矢理迫った息子を見ても「まったく、あんな女を力づくでものにできないでどうする」と嘲笑う。

そんな息子と無理矢理結婚させられた娘であるが、言うことを聞いて黙って耐えるようなことはしない。嫌味を言われれば、対抗して同じように憎まれ口を返すのであった。別の笑いを出そうとしていないと思うのだが、そういう真剣なやりとりが少し笑ってしまうところがあるのであった。


望んで結婚したのではない妻は、夫にも夫の父親にも毒を流し続ける。それは(無理矢理手ごめにされた時の)長男にも及ぶのであった。はっきり言って家族を壊そうとする妻なんて通常はありえないし、「そんな行いをしたら、最後はどんなになってしまうのか」という、怖いもの見たさが、この作品を見るものを惹きつけているのかもしれない。
憎まれ口ってのいうはパンチが効いているセリフで面白い。例えば病気が治った相手に普通は「具合が良くなってよかった」と言うであろう。でも憎まれ口では「まったくあのままくたばるかと思ったのに、しぶとい生命力だねえ」などと言うのである。作品としては、だんぜん憎まれ口の方が面白いし、それに対しての返しが「あんたより先にくたばってたまるかい」などとなれば、グイグイ作品に惹きつけられる。

『喜びも悲しみも幾年月』が表(おもて)面としたら、『永遠の人』は裏面のような存在なのかもしれない。
私は日本映画のなかでも5本の指に入るくらい、素晴らしく面白い作品だと思いました。